意外と知らないフランス語の前置詞surとsousの正しい使い方。日本語との違いと共に解説

2015年05月06日      2016年11月23日

このページではフランス語の前置詞surとsousについて勉強していきます。surとsousと聞くと、直感的に「~の上に」や「~の下に」といったイメージが頭の中に浮かんでくるのではないかと思います。

私たち日本人のフランス語学習者は日本語と同じようにsurとsousを単なる「上」と「下」の真逆の関係だと考えてしまいがちですが、実はフランス語ではこのsurとsousは単なる真逆の関係以上の意味があるのです。

このページではsurとsousに真逆の関係以外の意味があることを例文を踏まえて見ていき、フランス語の前置詞が持つ面白さや日本語との違いを確認していきましょう。

まずはsurとsousがどのような機能を持つ前置詞なのか、それぞれのcritères(条件・基準)となるものを挙げながら比較していきます。

surとsousの違いを知るために必要な「対象」と「起点」の概念

surとsousの具体的な違いを見ていく前に、フランス語の文法を勉強する上で理解しておくと便利な「対象」と「起点」について簡単に解説します。

文法書や語学学校など、日本でフランス語を勉強する時にはこの概念を勉強することはあまりないのですが、重要な概念なのでここで紹介しておきます。

まず、フランス語にはla cible「対象」le site「起点」という概念があります。

日本語に訳すとそれぞれ「対象」と「起点」になりますがいったいこれらは何を示すのでしょうか。言葉で説明するよりもまずは例文を見てみましょう。

  • Pierre est à l’université.
    ピエールは大学にいる。
  • Pierre marche jusqu’à l’université.
    ピエールは大学まで歩いていく。

上の文章2つにおいて、la cible(対象)はPierre、le site(起点)はl’universitéを指します。

  • la cible(対象)とは文の中で焦点が当てられているもの=主語
  • le site(起点)とはla cibleの位置を把握する際に比較として存在するもの

と覚えましょう。また下の例文のようにle siteとして、モノや場所だけでなく人が置かれる場合もあります。

  • Pierre est en face de Marie.
    ピエールはマリの正面にいる。
  • Pierre est à côté de Marie.
    ピエールはマリの隣にいる。

対象と起点について学習したところで、これらの概念を使いながら実際に前置詞surとsousの比較をしていきます。

前置詞surとsousの関係1【situation sur un axe vertical 垂直関係】

日本語では前置詞「〜の上に」と「〜の下に」はどちらも垂直の関係を表します。

例えば「本が机の上にある」という一文では、「本」という対象は「机」という起点に対して垂直の位置に置かれていて、「本が机の下にある」という例文であってもそれは同様です。

ではフランス語においても日本語と同様に前置詞surとsousが垂直の関係を表すのでしょうか。例を挙げます。

  • Le livre est sur la table.  本が机の上にある。

この文ではle livre(対象)とla table(起点)が垂直関係にあります。本が机の上にあるということは本と机の関係は垂直の関係ですね。

  • La balle est sous le meuble.  ボールが家具の下にある。

次に前置詞sousの場合、この文でもla balle(対象)とle meuble(起点)は垂直関係にあります。

では、surとsousはどちらも必ず垂直関係を持つ前置詞なのでしょうか。次の例文を見てください。

  • Le tableau est sur le mur. 絵画が壁にかけてある。

この文ではle tableau(対象)はle mur(起点)と接しているだけで垂直関係にあるとは言えません。

実はフランス語の前置詞surは日本語の「〜の上に」とは異なり、必ずしも垂直関係にあるわけではありません

フランス語では前置詞surを「〜について」という意味として使うことからも分かる通り、必ずしも対象と垂直の関係にあることは求められておらず、むしろ対象との接触が条件となっているのです。(これについては次の項で詳しく触れます)

それに対して前置詞sousは必ず対象と起点が垂直の関係になります。このことからsurとsousが対照の関係ではないことが明らかになりました。

  • 前置詞sur:起点と対象が常に垂直とは限らない
  • 前置詞sous:起点と対象が常に垂直

前置詞surとsousの関係2【Contact entre le site et la cible 起点と対象との接触】

垂直関係であるかどうかによって前置詞surとsousは対照関係にないことが分かりました。ではそのほかにもsurとsousを分け隔てるcritères(条件・基準)は存在するのでしょうか。次は起点と対象が接触をしているかという点で分析をしていきます。

  • Le journal est sur le livre. 新聞は本の上にある。

この文でle journal(対象)はle livre(起点)と接していることがわかります。

前置詞surは起点と対象との接触が条件であると言えそうです。次に前置詞sousを見てみます。

  • Le chat est sous la table. 猫は机の下にいる。

この文ではle chat(対象)はla table(起点)と必ずしも接触しているとは限りません。高さ50㎝ぐらいのローテーブルなら猫のしっぽや背中の一部が机に触れる可能性がありますが、イメージとしては猫と机の間には空間があります。

以上のことから前置詞surは起点と対象との接触が必ず起こり、前置詞sousでは起点と対象の間には空間が生じることがあるということが判明しました。

  • 前置詞sur:起点と対象は必ず接触する
  • 前置詞sous:起点と対象が常に接触するとは限らない

前置詞surとsousの関係3【Relation porteur-porté 持ちつ持たれつの関係】

さらに前置詞surとsousの違いを明らかにするために第三の条件を提示します。それはporteur-portéの関係であり、意味としては、「le site(基準)がなくなるとla cible(対象)が落下する」ということです。例を参考に違いを見ていきましょう。

  • L’affiche est sur le mur. 広告が壁に貼ってある。

この文ではもし、le mur(起点)がなくなった場合にl’affiche(対象)が落下してしまうので「持ちつ持たれつの関係」であると言えるでしょう。他にも例を挙げます。

  • La vase est sur la table. 花瓶が机の上にある。

この文章ではもし、la table(起点)が消滅した場合、la vase(対象)は落下して割れてしまうでしょう。porteur-portéの関係とはこのようなものであり、前置詞surではこの条件が満たされる場合が多いです。

では、前置詞sousにも同じようにこの条件は当てはまるのでしょうか。

  • Le chien est sous l’arbre. 犬が木の下にいる。

この文では仮にl’arbre(起点)が消滅したとしても、le chien(対象)が落ちることはありません。変化があるとしても木陰がなくなることぐらいです。このように前置詞sousではporteur-portéの条件は適応されません

  • 前置詞sur:起点が消滅すると対象が落下することがある
  • 前置詞sous:起点が消滅しても対象に変化はない

前置詞surとsousの関係4【La cible est plus petite que le site 対象が起点より小さい】

これまで前置詞surとsousの条件を見てきましたが、ここで新たな条件が加わります。それは対象が起点より小さいという条件です。まずは前置詞surから分析していきましょう。

  • Le vin est sur la table. ワインが机の上にある。

この文ではle vin(対象)は明らかにla table(起点)よりも小さいです。前置詞surではこの条件がすべて適応されるのでしょうか。調べてみるとそうでもなさそうです。次の例文を見てみましょう。

  • Jean est assis sur sa veste. ジャンは彼の上着の上に座っている。

この文ではJean(対象)はsa veste(起点)よりも確実に大きいです。前置詞surでは「対象が起点より小さい」という条件は必ずしもすべてに当てはまるわけではなさそうです。

では前置詞sousの場合はどうでしょうか。

  • Mon stylo est sous le journal. 私のペンは新聞の下にある。

この文ではmon stylo(対象)はle journal(起点)よりも小さいです。それではこの文の順番を入れ替えて以下のような文は作ることができるのでしょうか。

  • Le journal est sous mon stylo. 新聞は私のペンの下にある。

日本語ではこの文、意味の上では伝わりますが、フランス語のsousではこのような使い方ができません。フランス語の前置詞sousは必ず対象が起点より小さい必要があるのです。

このことから分かるのは、日本語の「~の下に」という前置詞とフランス語のsousという前置詞が異なる使い方をするということです。

  • 前置詞sur:対象と起点の大きさは関係ない
  • 前置詞sous:対象が起点より小さい必要がある

前置詞surとsousの関係まとめ

ここまで見てきた前置詞surと前置詞sousのcritères(条件・基準)をまとめると次のような表になります。

CRITÈRES 条件 sur sous
1 Situation sur un axe vertical 垂直関係
2 Contact entre le site et la cible 起点と対象との接触
3 Relation porteur-porté 持ちつ持たれつの関係 ×
4 La cible est plus petite que le site 対象が起点より小さい
必ず当てはまる
当てはまらない場合もある
× 当てはまらない

今回の分析を通してsurとsousには真逆の関係以外の意味があることが分かりました。前置詞surとsousは異なる条件のもと存在しており、フランス語で両者は全く異なるものなのです。

またsurとsousはそれぞれ日本語の「~の上に」「~の下に」とも異なった使い方をするということも分かったのではないでしょうか。

よく使うsurやsousのような前置詞でも細かく分析すると意外な一面が見えてきます。中級者から上級者のみなさんはぜひこの機会に辞書をひきなおしてみてはいかがでしょうか。よく使うものほど複雑なのです。

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