フランス語は同じ言葉の繰り返しを嫌うー代名詞yとlàの違いを比較

2015年05月10日      2016年11月24日

フランス語で文章を書くときに最も気を付けなければならないことをご存知でしょうか。それは同じ言葉の繰り返しを避けることです。

フランス語は一度、文中に登場した単語や表現を同じ文章内で繰り返すことをひどく嫌います。例えばこの文章ではすでにフランス語という言葉を3回使っていますが、これはフランス語では美しいとされない文章なのです。

例えばこの場合、フランス語ではle français「フランス語」という言葉の繰り返しを避けるために、la langue française「フランス語という言語」やla langue de Molière「モリエールの言語」と表現することがあります。

ではなぜこの繰り返しという行為が極端に避けられるかというと、様々な理由はありますが、同じ表現を繰り返し使うと語彙が少ないと思われてしまうのでそれを避けるため、また同じ言葉だけで書かれた文は美しくないという理由が影響しています。

こういった理由で例えば「パリ」のことをフランス語では、

  • Paris
  • la capitale 首都
  • la ville lumière 光の都

といった風にいろいろな別名で呼びますし、「有名な」という意味のよく使う形容詞にも

  • célèbre
  • bien connu
  • réputé
  • renommé
  • fameux
  • illustre
  • de renom
  • de réputation

といった具合にさまざまな言い方があるのです。もちろん日本語でも同じ言葉を文中で何度も用いることは避けられがちですが、フランス語はその上をいっていると考えていいでしょう。

フランス語は代名詞で重複を避ける

このような名詞をさまざまな単語で言い換えるほかにフランス語では代名詞を巧みに用いて繰り返しを避けます。

フランス語の文法を勉強すると○○代名詞というものがよく出てきますが、これらはすべて繰り返しを避ける目的があるのです。一例をあげてみましょう。

  • Hier, je suis allé à Tokyo. Je vais souvent à Tokyo.
    昨日、私は東京に行きました。私はよく東京に行きます。

この2文から成る文章、意味の上では通じますがà Tokyoが繰り返されています。

この場合、フランス語では繰り返しを避けるためにà Tokyoをある代名詞に置き換えます。

  • Hier, je suis allé à Tokyo. J’y vais souvent.
    昨日、私は東京に行きました。私はよくそこに行きます。

ずいぶんスッキリしました。à+場所を繰り返す代わりに中性代名詞yを用いることはすでに文法の授業で習ったでしょうか。

このように繰り返しを避けるために用いる言葉のことをフランス語ではanaphore「照応」といい、今回は特にyとlàの違いに注目してフランス語を分析していきます。

フランス語の代名詞yとlàを比べる

前置詞+場所の繰り返しを避けるために用いるyですが、この2つには違いがあります。まずは以下の例文を見比べてみましょう。

  • A: Hier, je suis allé à la bibliothèque. J’y vais souvent.
    昨日、私は図書館に行った。私はよくそこに行く。
  • B: Hier, je suis allé chez Marie, mais elle n’était pas .
    昨日、私はマリの家に行った、しかし彼女はそこにいなかった。

二つの文を比べてみるとAの文では代名詞yが使われているのに対して、Bの文では代名詞làが使われています。この使い分けは適当に決めたのではなく、きちんとした理由があるのです。

Aの文

まずはAの文を見ます。

  • A: Hier, je suis allé à la bibliothèque. J’y vais souvent.

この文で代名詞yが置き換えているものはà la bibliothèqueです。なのでyの代わりにà la bibliothèqueを戻し、

  • A: Hier, je suis allé à la bibliothèque. Je vais souvent à la bibliothèque.

と書き換えても意味は通じます。

Bの文

次にBの文を見てみます。

  • B: Hier, je suis allé chez Marie, mais elle n’était pas .

この文でlàが置き換えているものはchez Marieです。ではchez Marieを文に戻し、書き換えることは可能でしょうか。

  • B: Hier, je suis allé chez Marie, mais elle n’était pas chez Marie.

残念ながらこの文は成立不可です。なぜでしょうか。それはこの文を日本語に訳しなおすと分かります。

「昨日、私はマリの家に行った、しかし彼女はマリの家にいなかった。」

この文だとマリのほかに別の女性がいるような誤った解釈を生むためchez Marieを繰り返すことはできず、代わりにchez elleと置き換え、以下のような文にする必要があります。

  • B: Hier, je suis allé chez Marie, mais elle n’était pas chez elle.

フランス語のyとlàの違いは何かのまとめ

まとめるとこのようになります。

  • A: Hier, je suis allé à la bibliothèque. J’y vais souvent.

代名詞y = à la bibliothèque

  • B: Hier, je suis allé chez Marie, mais elle n’était pas .

代名詞là × chez Marie, = chez elle

以上のことからわかるのは、代名詞yは全く同じ形のものを置き換えるのに対して、代名詞làは違う形のものを置き換えてもよいということです。

場所を置き換える代名詞にもより細かい分類・使い分けがあることがわかりました。さらに代名詞yは常に動詞とともに使われる、代名詞làは対立を強調するなど違いがありますが、このことは今後書き足していこうと思います。

今回覚えることは、代名詞yとlàはどちらも「前置詞+場所」を置き換えることが可能ですが、それぞれ用法が異なるということです。

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