フランス語toutの使い方と4つの用法ー発音するtousとしないtousの見分け方を解説

2015年06月14日      2016年10月04日

フランス語を勉強するうえで避けて通れないのがtoutという単語です。この単語はいろいろな場面で使われるのですが、語尾を発音する時やしない時があったり、性数一致をする時があったりしないときがあったりと、フランス語学習を始めたばかりの人の中では、しっかりと違いを区別している人は少ないのではないでしょうか。

フランス語のtoutは幅広い場面で用いられる単語なので、その意味をしっかり理解すればフランス語で表現できることが一気に広がります。さらなるフランス語のレベルアップを目指して今日はtoutを分析して、今まで曖昧だったtoutの区別・用法について明らかにしていきましょう。

フランス語のtoutの種類

フランス語のtoutは形容詞、代名詞、副詞、名詞と4つの使い方があります。

  • 形容詞
  • 代名詞
  • 副詞
  • 名詞

toutがどの品詞として使われているかによって性数一致をするか、語尾の発音をするかしないかなど多くのものが変化してくるのです。これらの違いをハッキリさせるためにtoutの品詞を一つ一つ見ていき意味を理解しましょう。

1.形容詞として使われるtout

形容詞としてtoutが用いられる場合ではtout/tous/toute/toutesのように性数一致を行います。

tout
tous
toute
toutes

形容詞のtoutは大きく2種類の用法に分かれます。それぞれ混同しがちなので違いをはっきりさせながら意味を理解していきましょう。

また、発音に関して言うと、形容詞のtousはsを発音しません。注意しましょう。

形容詞toutの用法1【形容詞tout+冠詞+名詞】

この用法の特徴は、形容詞toutが名詞の直前・直後には付かないという点です。普通の形容詞なら、

  • une petite pomme 小さいリンゴ
  • une pomme rouge 赤いリンゴ

のように形容詞が名詞の直前または直後にくっついて使われるのに対して、この用法では形容詞と名詞の間に

のいずれかをはさみます。例を挙げてみてみましょう。

単数のtout/toute

【tout/toute+冠詞+単数名詞】は「~すべて」や「~全体」を意味します。「みんな」を意味するtout le mondeもこの用法です。

  • toute la journée 一日中
  • tout le temps いつも
  • toute cette histoire この話すべて
  • toute sa vie 彼・彼女の生涯中

複数のtous/toutes

【tous/toutes+冠詞+複数名詞】は「すべての~」「~ごとに」を意味します。また繰り返しにはなりますが形容詞のtousはsを発音しません。

  • tous ces livres これらすべての本
  • toutes les tables これらすべての机
  • tous les jours 毎日
  • toutes les 5 minutes 5分ごとに
  • tous les 2 jours 2日ごとに

形容詞toutの用法2【形容詞tout+無冠詞名詞】

この用法は形容詞のtoutを無冠詞名詞の前に置きます。この用法は熟語表現で使われることが多いです。日本語に訳すと「すべての~」「あらゆる~」という意味です。例を挙げるので見てみましょう。

  • Tout homme est mortel. すべての人は死ぬものだ。
  • Toute civilisation est périssable. どんな文明でもいつかは滅びる。
  • en tout cas とにかく
  • de toute façon いずれにせよ

形容詞のtoutの用法のポイントは掴めたでしょうか。【形容詞tout+冠詞+名詞】は非常に使用頻度の高い表現です。【形容詞tout+無冠詞名詞】は熟語表現として使われることが多いので、どちらも覚えていきましょう。

2.代名詞として使われるtout

代名詞のtoutでも、形容詞と同様に性数一致を行なうため、tout/tous/toute/toutesのすべてが用いられます。

tout
tous
toute
toutes

代名詞のtoutについて解説します。代名詞とは「詞のわりに働く」品詞です。なので文法上は名詞と同じように使われます。大事なのは発音で、代名詞のtousは語尾のsを発音します

用法は単数形と複数形で2種類あるのでそれぞれ覚えていきましょう。

代名詞toutの用法1【単数tout】

代名詞単数形のtoutは「すべて・全部・何でも」を意味します。代名詞なので主語・目的語として使われる場面が多いです。

  • Tout va bien. すべて順調だ。
  • Sa mère sait tout. 彼(女)の母は何でも知っている。

Tout est pardonné.「すべては赦された」というフレーズをご存知でしょうか。このフレーズはCharlie Hebdoがテロ襲撃事件後に発刊した紙面の一面に書かれていた言葉です。

TOUT EST PARDONNÉ
TOUT EST PARDONNÉ

代名詞toutの用法2【複数tous/toutes】

代名詞複数形のtousはsを発音します。tousのsが発音されるのはこの代名詞複数形の場合のみとなり、他の品詞である形容詞・名詞・副詞ではsが発音されることはありません。大事なことなので必ず覚えておいてください。

意味は「みんな」「すべての人・もの」です。

  • Ils sont tous gentils. 彼らはみんな優しい。
  • Elles sont toutes gentilles. 彼女たちはみんな優しい。
  • Ils aiment tous la musique. 彼らはみんな音楽が好きだ。
  • Elles aiment toutes la musique. 彼女たちはみんな音楽が好きだ。

3.副詞として使われるtout

副詞ではtout/toute/toutesが用いられ、tousは使われません。

tout
tous ×
toute
toutes

副詞のtoutはtrès「とても~」とほぼ同じ意味を持ちます。そして副詞のtoutには男性複数形のtousが存在しません。その理由はこの後明らかになります。まずは下の例文を見てみましょう。

  • Il est tout gentil. 彼はとても優しい。
  • Ils sont tout gentils. 彼らはとても優しい。

このようにここで使われているtoutは副詞なので性数一致は起きないはずです。

しかし副詞のtoutには例外があります。それは、

(子音または有音のhで始まる)女性形容詞の前では性数一致するということです。下の例文のように副詞であるにもかかわらずtoutは女性形容詞の前で性数変化をしてtoute/toutesに形を変えるのです。

  • Il est tout gentil. 彼はとても優しい。
  • Elle est toute gentille. 彼女はとても優しい。
  • Ils sont tout gentils. 彼らはとても優しい。
  • Elles sont toutes gentilles. 彼女たちはとても優しい。
無音・有音のhについて

フランス語のhから始まる単語には有音のh無音のhという2つのカテゴリーが存在します。有音のhは、hを他の子音と同じように扱いますが、無音のhの場合は文法上、hを文字としてカウントしないため、無音のhから始まる単語はhの後に続く母音から始まるとみなされて母音の衝突の対象となります。

  • homme → lhomme
  • histoire → lhistoire

ここである問題が発生します。それは以下の2文を比べてみてください。

  • Elles sont toutes gentilles. 彼女たちはとても優しい。【副詞のtoutes】
  • Elles sont toutes gentilles. 彼女たちはみんな優しい。【代名詞のtoutes】

1つ目の文ではtoutesを副詞「とても~」として捉えているのに対して2番目の文ではtoutesを代名詞「みんな」と捉えています。

このように女性形容詞の前ではtoutesが副詞として使われているのか代名詞として使われているのか形の上では区別がつかない場合があるのです。

男性形容詞の前なら、副詞のtoutは性数一致しないので、性数一致する代名詞のtousと区別ができるのですが女性形容詞の前では区別ができません。なので文意によって読み取る必要があるのです。

  • Ils sont tout gentils. 彼らはとても優しい。【副詞のtout】
  • Ils sont tous gentils. 彼らはみんな優しい。【代名詞のtous】

他にも副詞のtoutはジェロンディフ(en+現在分詞)の前について意味を強調する役割があります。譲歩の意味を強調するときジェロンディフの前にtoutを付けることがあるので覚えておきましょう。

  • Il est très en forme en buvant beaucoup.
    彼はたくさんお酒を飲むのにとても健康だ。
  • Il est très en forme tout en buvant beaucoup.
    彼はあれほどたくさんお酒を飲むのにもかかわらず健康だ。

4.名詞として使われるtout

名詞のtoutは性数変化しないためtoutのみが用いられます。

tout
tous ×
tout ×
toutes ×

名詞のtoutは男性形toutの形のみで使われます。このtoutは名詞なのでもちろん冠詞とともに用いられ、意味としては「全体・すべて」や「大切なこと」などがあります。

  • Je te donne le tout. 君にすべてをあげよう。
  • Le tout, c’est de gagner. 大切なことは勝つことだ。

toutの用法まとめ

このページで見てきたようにtoutという単語はこのように4つの品詞として用いられるため、どの品詞として使われているのかを見定める必要がある難しい単語です。

また副詞と名詞では使われないtoutの形があるという点に気を付けましょう。性数変化は以下の表のとおりです。

形容詞 代名詞 副詞 名詞
tout
tous × ×
toute ×
toutes ×

今回覚えるべきポイントは以下の4つです。

  • toutには形容詞代名詞副詞名詞という異なる使い方がある
  • 代名詞tousの語尾sは発音する
  • 女性形容詞の前に付く副詞のtoutはtoute/toutesに性数変化する
  • 女性形容詞の前に付くtoutesは副詞・代名詞の両方として捉えられる

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