フランス語の定冠詞(article défini)とは何か
- フランス語の定冠詞は名詞の性と数によって形が変化する。
- 男性名詞単数形の前ではle(l’)、女性名詞単数形の前ではla(l’)となる。
- 男性名詞複数形と女性名詞複数形の前ではどちらもlesとなる。
フランス語の定冠詞は後に続く名詞の性と数によって形が変化します。男性名詞の単数形にはle(l’)、女性名詞の単数形にはla(l’)が付きます。
母音から始まる男性名詞単数形と女性名詞単数形の前では母音の衝突が起き、この衝突を避けるために定冠詞のleやlaがl’に変形します。男性名詞複数形と女性名詞複数形にはどちらもlesをつけます。
男性名詞 | 女性名詞 | |
単数形 | le (l’) | la (l’) |
複数形 | les | les |
冠詞の終わりの文字が母音で、次の単語が母音もしくは無音のhで始まる場合、冠詞の最後に付く母音を消して、代わりに[ ‘ ]を置きます。フランス語の母音はa/e/i/o/u/yとそれぞれにアクサンが付いたものを指します。
- le ami → l‘ami
- le arbre → l‘arbre
- la école → l‘école
フランス語のhから始まる単語には有音のhと無音のhという2つのカテゴリーが存在します。有音のhは、hを他の子音と同じように扱いますが、無音のhの場合は文法上、hを文字としてカウントしないため、無音のhから始まる単語はhの後に続く母音から始まるとみなされて母音の衝突の対象となります。
- homme → l‘homme
- histoire → l‘histoire
フランス語の定冠詞の作り方
男性名詞単数形の作り方
男性名詞単数形の前では定冠詞leを用います。ただし母音または無音のhで始まる名詞の前では母音が連続するため、leからl’へと形が変化します。
- livre → le livre
- sylo → le stylo
- examen → l’examen
- ordinateur → l’ordinateur
- homme → l’homme
上の5つの例では、3つ目のexamenと4つ目のordinateurが母音で始まるためleの代わりにl’が使われています。5つ目のhommeは無音のhから名詞が始まっているのでleの代わりにl’を使います。
男性名詞単数形の作り方
女性名詞単数形の前では定冠詞laを用います。ただし母音または無音のhで始まる名詞の前では母音が連続するため、定冠詞l’を代用します。
- table → la table
- maison → la maison
- fille → la fille
- femme → la femme
- école → l’école
- histoire → l’histoire
5つ目のécoleは母音から、6つ目のhistoireは無音のhから始まっているのでlaの代わりにl’が使われています。
男性名詞複数形と女性名詞複数形の作り方
男性名詞複数形と女性名詞複数形の前ではどちらも定冠詞lesを用います。母音または無音のhで始まる名詞の前であっても複数形の定冠詞lesは変化しません。
- livres → les livres
- tables → les tables
- ordinateurs → les ordinateurs
- hommes → les hommes
- écoles → les écoles
- histoires → les histoires
複数形の場合は母音や無音のhを気にする必要がないので分かりやすいですね。
定冠詞の用法
フランス語の定冠詞の使い方や用法を解説します。定冠詞は名詞を特定する力を持っており、用法が大きく分けて1)指示的用法、2)総称的用法、3)唯一のものを表す用法の3種類があります。定冠詞の用法を例文と解説とともに見ていきましょう。
【指示的用法】特定のものを指す「この~」「その~」
すでに会話や文中で登場したもの、または自分が誰かと会話をしていてその時に目の前にあるような、目に見えるものなどを指す時に定冠詞は用いられます。
- Le livre est lourd.
この本は重い。 - Le garçon est intelligent.
その少年は頭がいい。 - La fille aime chanter.
その少女は歌うのが好きだ。 - C’est la maison de Paul.
これはポールの家だ。
【総称的用法】ある種を代表的にあらわす「~というもの」
単数形または複数形で一つのカテゴリー全体を意味することができます。
- Les hommes sont mortels.
人は死すものだ。 - J’aime les chiens.
私は犬が好きだ。 - Elle aime le vin.
彼女はワインが好きだ。
【唯一のものを表す用法】唯一物、抽象名詞をあらわす
太陽や月、地球のようなこの世の中に一つしか存在しないものは、それと特定できるため、定冠詞を使います。
- Le soleil brille.
太陽が輝いている。 - La Terre est plus grande que la Lune.
地球は月より大きい。