フランス語の不定詞(infinitif)とは何か
- 不定詞は動詞の原形としてみなされる形である。
- 不定詞をもとに動詞を法・主語・時制に合わせて活用していくことになる。
- 辞書には動詞の不定詞が掲載されている。
フランス語の不定詞は動詞の原形とも呼ばれています。不定詞とは例えばaller、manger、partir、sentirなどの人称変化していない動詞そのものを指します。
辞書や教科書などでは不定詞のことを省略形inf.で表示している場合もありますが、inf.とはinfinitif(不定詞)を意味し、inf.の[ . ]は省略形であることを意味しています。
不定詞の単純形と複合形
不定詞には動詞1つから成る単純形と、avoir+過去分詞もしくはêtre+過去分詞から成る複合形の2種類があります。単純形とはchanterやparlerのようなものを指し、複合形はavoir chantéやavoir parléのようなものを指します。
下にそれぞれの例をいくつか挙げるので違いを確認しましょう。
不定詞の単純形の例
- chanter
- parler
- manger
- aller
- se promener
不定詞の複合形の例
- avoir chanté
- avoir parlé
- avoir mangé
- être allé(e)(s)
- s’être promené
フランス語の不定詞の用法
不定詞の用法1【名詞的用法】「~すること」
- 名詞と同じように主語や目的語として用いられる。
- 名詞的用法の時、主語・目的語・補語などさまざまな形で用いることができる。
- 不定詞は名詞として用いられるとき中性なので性数一致は行わない。
- Écouter bien est important.
よく聞くことが大事です。 - Manger beaucoup est bon pour la santé.
よく食べることは健康にいいです。 - Vouloir, c’est pouvoir.
為せば成る。 - Protester ne changerait rien.
抗議しても何も変わるまい。
不定詞を否定形として使う場合は語順に注意してください。ne pasを不定詞の前に置きます。
- Ne pas se dépêcher est important.
急がないことが大事です。 - Ne pas travailler pendant les vacances est bien.
バカンスの間に働かないことはよい。
動詞がêtreの時、ことわざや格言以外では不定詞の前にdeをつける決まりがあります。
- Mon rêve est de visiter la France.
私の夢はフランスを訪れることだ。 - Le but de ce cours est de devenir capable de parler couramment français.
この授業の目的はフランス語を流暢に話せるようになることだ。
不定詞の用法2【動詞的用法】「~する」
- 動詞と同じように不定詞は用いられる。
- 疑問文や感嘆文、または命令文で使われる。
- 不定詞の動詞的用法は看板や警告、貼り紙の文で使われる場合が多い。
- Que faire ?
何をすべきか。 - Comment dire ?
どう言えばいいだろうか。 - Où aller ?
どこに行けばいいのだろうか。 - Entrer sans frapper.
ノックせずにお入りください。 - Ralentir, travaux.
工事中、徐行せよ。 - Ne pas fumer dans cette salle.
この部屋では喫煙しないでください。
使役動詞構文【faire+不定詞】
不定詞を用いた構文の中に使役構文(しえきこうぶん)というものがあります。使役構文とは日本語にすると「~に~させる」という意味を持ち、「~させる」の部分の不定詞が自動詞か他動詞かによって構文が多少変化するので両方のパターンをそれぞれ解説していきます。
使役構文で不定詞が自動詞の場合
不定詞がmarcher「歩く」やvenir「来る」のような自動詞の場合、使役動詞構文の語順はfaire+不定詞+動作主となります。
- Je fais marcher Paul.
私はポールを歩かせる。 - J’ai fait marcher Paul.
私はポールを歩かせた。
動作主が名詞ではなく人称代名詞の場合は代名詞+faire+不定詞の語順となるので注意が必要です。
- Je le fais marcher.
私は彼を歩かせる。 - Je l’ai fait marcher.
私は彼を歩かせた。
faire+不定詞の使役動詞構文では、複合時制の場合でも過去分詞は性数一致しません。
使役構文で不定詞が他動詞の場合
不定詞がmanger「〜を食べる」やlire「〜を読む」のような直接目的語を取る他動詞の場合、使役動詞構文の語順はfaire+不定詞+目的語+à/par+動作主となります。
- Je fais manger ce gâteau à Marie.
私はマリにこのケーキを食べさせる。 - J’ai fait manger ce gâteau à Marie.
私はマリにこのケーキを食べさせた。
動作主が名詞ではなく人称代名詞の場合は代名詞+faire+不定詞+目的語の語順となるので注意しましょう。
- Je le lui fais manger.
私はそれを彼女に食べさせる。
上の例文では、leはce gâteauを置き換え、luiはà Marieを置き換えています。
- Je le lui ai fait manger.
私はそれを彼女に食べさせた。
放任動詞構文【laisser+不定詞】
使役動詞「~に~させる」と同じような構文として放任動詞構文がある。放任動詞とは「~を~させたままにする」という意味を持ち、「~させたままにする」の部分の不定詞が自動詞か他動詞かによって構文が多少変化するので、それぞれ解説していきます。
放任動詞構文の不定詞が自動詞の場合
不定詞がdormir「眠る」やjouer「遊ぶ」のような自動詞の場合、放任動詞構文の語順はlaisser+不定詞+動作主となります。
- Je laisse dormir Pierre.
私はピエールを寝かせたままにしておく。 - J’ai laissé dormir Pierre.
私はピエールを寝かせたままにした。
動作主が名詞ではなく人称代名詞の場合は代名詞+laisser+不定詞の語順となるので注意。laisser+不定詞の放任動詞構文では複合時制の場合、性数一致は任意となります。
- Je le laisse dormir.
私は彼を寝かせたままにしておく。 - Je l’ai laissé dormir.
私は彼を寝かせたままにした。
放任動詞構文の不定詞が他動詞の場合
不定詞がregarder「〜を見る」やlire「〜を読む」のような直接目的語を取る他動詞の場合、放任動詞構文の語順はlaisser+動作主+不定詞+目的語となり、使役動詞構文とは語順が異なるので注意が必要です。
- Je laisse Maire lire ce livre.
私はマリにこの本を読ませたままにする。 - J’ai laissé Maire lire ce livre.
私はマリにこの本を読ませたままにした。
動作主が名詞ではなく人称代名詞の場合は代名詞+laisser+不定詞+目的語の語順となります。
- Je la laisse lire ce livre.
私は彼女にこの本を読ませたままにする。 - Je l’ai laissé lire ce livre.
私は彼女にこの本を読ませたままにした。