フランス語の現在分詞(participe présent)とは何か
- 形容詞のように名詞の後につくこともあるが性数変化しない。
- 現在分詞は語尾がすべてantで終わる。
- 現在分詞は動詞のnousの活用をもとにしてつくられる。
このページではフランス語の現在分詞の作り方とその意味・用法について解説していきます。最初に現在分詞の作り方を見た後に、用法を学習していきましょう。
現在分詞の作り方
現在分詞は動詞のnousの活用をもとにしていて、nousの活用語尾onsをantに変えることで作ることができます。
- travailler→travaillons→travaill+ant→travaillant
- chanter→chantons→chant+ant→chantant
- partir→partons→part+ant→partant
êtreやavoir、savoirの現在分詞は形が不規則なので注意しましょう。
- être→étant
- avoir→ayant
- savoir→sachant
フランス語の現在分詞の用法を解説
現在分詞は過去分詞と異なり、性数一致を行いません。また現在分詞は話し言葉よりも書き言葉で好んで用いられる傾向があります。
関係節の置き換え
現在分詞はqui+動詞の関係節を置き換え、名詞に情報を付加することができます。
- Le professeur parlant avec Pierre est gentil.
Le professeur qui parle avec Pierre est gentil.
ピエールと話している先生は優しい。
- Un chasseur sachant chasser sans son chien est un bon chasseur.
Un chasseur qui sait chasser sans son chien est un bon chasseur.
犬なしで狩りができる狩人は良い狩人だ。
上の例文はフランス語の早口言葉です。
- Il y a beaucoup d’étudiants apprenant le français.
Il y a beaucoup d’étudiants qui apprennent le français.
フランス語を勉強している学生が多い。
フランス語の分詞節(分詞構文)の用法
主節の主語と分詞節の主語が同じ場合、分詞構文(ぶんしこうぶん)という文法が用いられます。
分詞節は文頭・文中・文末のどこにでも置くことができ、小説やニュース記事などの文章では文中に挿入されるケースが多いです。
- Voyant le professeur, les étudiants commencent à étudier.
- Les étudiants, voyant le professeur, commencent à étudier.
- Les étudiants commencent à étudier, voyant le professeur.
先生を見て学生は勉強を始める。
上の文で太字になっている部分が分詞節です。分詞節は必ず主節から独立している必要があり、両者の間には[ , ]virguleを打ちます。
分詞節の用法1【時・同時性】
- 現在分詞を用いることでquand~/pendant que~「~する時/~しながら」の構文を置き換えられる。
- 二つの行為を同時に行う際に現在分詞を用いて表現することができる。
- Parlant avec Pierre, je me suis promené dans un parc.
ピエールと話しながら、私は公園を散歩した。 - Chantant une chanson, il étudie le français.
ある曲を歌いながら彼はフランス語を勉強する。
分詞節の用法2【原因・理由】
- 現在分詞を用いることでcomme~「~なので・~という理由で」の構文を置き換えられる。
- Ayant faim, j’ai cherché quelque chose à manger.
空腹だったので、私は何か食べるものを探した。 - Étant fatiguée, Maire est restée chez elle.
疲れていたので、マリは家にいた。
分詞節の用法3【条件・仮定】
- 現在分詞を用いることでsi~「もし~なら・もし~ならば」の構文を置き換えられる。
- Travaillant plus, tu réussiras au concours.
もっと勉強すれば試験に通るだろう。 - Partant plus tôt, on pourrait arriver à l’heure.
もっと早く出発すれば、時間通りに到着するのに。
分詞節の用法4【対立・譲歩】
- 現在分詞を用いることでmême si~「たとえ~でも・~なのに~である」の構文を置き換えられる。
- Étant malade, il est venu.
病気なのに彼はやってきた。 - Sachant la vérité, il n’a rien dit.
本当のことを知っているのに、彼は何も言わなかった。
現在分詞の複合時制
ここまで見てきた分詞節は主節と同時の動作を表していました。これから紹介する現在分詞の複合時制(現在分詞複合形)は、主節の動詞よりも時間的に早く完了した動作を表す表現です。
現在分詞複合形はayant+過去分詞もしくはétant+過去分詞の形を取りますが、一般的にétantは省略されることが多く、étant+過去分詞はほとんどの場合、過去分詞のみで表現されます。
- Ayant bu beaucoup, il n’est pas en forme.
飲みすぎたので私は調子が悪い。
上の文では、ayant bu「酒を飲む」行為がn’est pas en forme「調子が悪い」よりも先に完了している行為なので時間の順序を表現するために先に行われた動作を現在分詞複合形にしています。
- Ayant travaillé sérieusement, il n’a pas pu réussi.
真剣に取り組んだのに、彼は成功しなかった。 - Parti tôt, il est arrivé en retard.
早く出発したのに、彼は遅れて到着した。
現在分詞と動詞的形容詞の区別
現在分詞も形容詞と同じように名詞の後ろに置かれ名詞を修飾することができますが、形容詞とは違い性数一致を行いません。
ただし現在分詞と同じ語尾(ant)を持つ形容詞がいくつか存在し、それらを動詞的形容詞と呼ぶので注意する必要があります。
- une fille parlant avec ses parents
両親と話している少女
例えば上の例文ではparlantは現在分詞であるため名詞と性数一致は行いません。
しかしフランス語にはparlant(e)「表現力のある・説得力のある」という動詞的形容詞が存在し、次の文のように用いられることがあり、この場合は通常の形容詞と同様に修飾している名詞と性数一致を行います。
- une preuve parlante
説得力のある証拠
他にも動詞obeir à「~に従う」の現在分詞obéissantと動詞的形容詞であるobéissant(e)「従順な」などが現在分詞と動詞的形容詞で混同されがちな表現なので気をつけましょう。
- les enfants obéissant à ses parents
両親に従っている子供たち - les enfants obéissants
従順な子供たち
このように現在分詞と動詞的形容詞は形が同じなので、性数一致をするかしないか混同しないように気をつけなければいけません。現在分詞と動詞的形容詞を区別するいくつかの方法があるので紹介していきます。
現在分詞のケース
次の3パターンの場合は必ず現在分詞であると特定できます。
現在分詞の後ろに目的補語が続く場合
現在分詞/動詞的形容詞の後に目的補語(目的語)が続いている場合、現在分詞であると判断できます。後に続く目的補語は直接目的補語でも間接目的補語のどちらでもかまいません。
- la fille parlant anglais
英語を話す少女 - l’étrange aimant la culture japonaise
日本文化が好きな外国人
後ろに状況補語が続く場合
場所や時の状況補語が後に続く場合も現在分詞です。
- le chien attendant à la sortie
出口で待っている犬 - le bébé dormant sur le lit
ベッドの上で寝ている赤ん坊
否定のneと一緒に使われている場合
否定のneを伴う場合、現在分詞であると特定できます。
- la fille ne lisant pas
読書しない少女 - les étudiants ne parlant rien
何もしゃべらない学生たち
絶対分詞節(絶対分詞構文)
主節の主語と分詞節の主語が同じ場合に用いられる分詞構文とは違い、絶対分詞構文では主節の主語とは別に分詞節が独自の主語を持ちます。
- La nuit tombant, on rentra à la maison.
日が暮れたので、家に帰った。 - La guerre ayant éclaté, on s’enfuit.
戦争が起きたので、逃げ出した。
絶対分詞構文は文法書によっては独立分詞節(独立分詞構文)と書かれる場合もあります。