フランス語にはアクサンテギュ・アクサンングラーヴ・アクサンシルコンフレックスという3種類のアクサンがあります。
今回はアクサンシルコンフレックスaccent circonflexeに注目して3つの意味について理解を深めていきましょう。アクサンってただ単語の上についているだけじゃない!しっかり意味を持っているんだ!ということに気づくとフランス語の学習がより面白くなります。それでは3つの意味を見てみましょう。
英語のS
フランス語のアクサンシルコンフレックスはアルファベットのSに置き換えることができます。
どんな意味かというとまずは次の2つの単語を見てください。
forêt | → | forest |
hôpital | → | hospital |
どちらもアクサンシルコンフレックスがアルファベットのSだと考えるとforêtやhôpitalはそれぞれforestやhospitalになりますね。ポイントはSの置かれる場所がアクサンシルコンフレックスが付いていた母音の直後に置かれるということです。
このようにアクサンシルコンフレックスはアルファベットのSの代わりとして用いられることがあるのです。
西アフリカの国、コートジボワール(Côte d’Ivoire)のCôteもこの考えを適応するとCosteになります。英語で「海岸」を意味する単語はCosteではなくCoastですが、そこはよしとしましょう。(笑)CôteのôもSを示すのです。
ちなみにコートジボワールはフランス語です。Côteは海岸、Ivoireは象牙を意味するので、コートジボワールとは「象牙海岸」という日本語になります。
どうして「象牙海岸」という国名になったのかはWikipédiaを参考にしてください。
15世紀にポルトガル、イギリス、オランダなど西欧の貿易船が奴隷と象牙の売買に来航した。黄金海岸、胡椒海岸、奴隷海岸などとともに、この地には象牙の海岸(Côte d’Ivoire)という名が付けられた。
17世紀半ばにフランスが西アフリカ経営に乗り出した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B8%E3%83%9C%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB(日本語版Wikipédia)
http://fr.wikipedia.org/wiki/C%C3%B4te_d%27Ivoire(フランス語版Wikipédia)
このようにアクサンシルコンフレックスが英語ではアルファベットのSに変わるということを知っていれば、初めて出会うフランス語の単語でも英語に置き換えて推測することができます!
フランス語 | 英語 | 日本語 |
ancêtre | ancester | 祖先・先祖 |
bête | beast | 動物 |
coûter | cost | ~値段がかかる |
同じスペルの語と区別
アクサンシルコンフレックスには他にも大事な意味があるのです。それは同じスペルの語と区別するための役割です。
例えばsurとsûr、duとdûはそれぞれ発音が同じです。もしアクサンシルコンフレックスがどちらかに付いていなかったら誤解を招く恐れがあります。このことを避けるためにアクサンシルコンフレックスは使われるのです。
sur | ~の上に | sûr | 確信している |
du | 部分冠詞男性形 | dû | devoirの過去分詞 |
同じ母音の連続を避ける
アクサンシルコンフレックス3つ目の意味として同じ母音の連続を避けるという役割があります。
例えばTu as quel âge ? 「君は何歳?」(若者言葉ではT’as quel âge ?と聞く場合もありますね –j’suis・t’asって何? – フランス語母音の省略) という表現で使われるâge:年齢という単語、実は昔、
aage
と書かれれていたのです! 見た目があまり美しくないですね。同じ母音が連続するのはフランス語を使う人にとっても同じで美しくなかったので、連続している母音の2個目をアクサンシルコンフレックスに変えてしまったのです。
âge
↑ずいぶんスッキリしました。このような理由でâgeと発音するときにはaの音を少し伸ばして発音するのです。
フランス語 | 古フランス語 | 日本語 |
âme | aame | 魂 |
まとめ
今回見てきたように実はフランス語のアクサンシルコンフレックスにはしっかり役割があったのです。もちろん今日紹介した3つの意味に当てはまらないものもたくさんありますが、今後アクサンシルコンフレックスが付いた単語を見つけたらどのような意味があるのだろうと考えてみると面白いかもしれません。
- 英語のS
- 同じスペルの語と区別
- 同じ母音の連続を避ける