突然ですが、フランス語の前置詞àにはどんな意味があるでしょうか。
「~に・~へ」だけだと思ったら大違いです!
辞書を引くとわかりますがフランス語の前置詞àってものすごくたくさんの意味があるんです。
今日はその中でも前置詞àの持つ主要な意味5つを再確認してフランス語知識の基礎を固めてもらおうと思います。
普段使っていたフレーズに含まれる前置詞àにはこんな意味があったんだ!と驚いてもらえるような内容になっているのでこの機会にぜひ一度フランス語の前置詞àの意味を勉強しましょう!
場所・位置のà
フランス語の前置詞àと聞くとまず思い浮かべるのはこの使い方ではないでしょうか。
- Il habite à Paris.「彼はパリに住んでいる」
- Elle est à la maison.「彼女は家にいる」
- J’ai mal à la tête.「私は頭が痛い」
1.や2.の文のようにà+場所の組み合わせで、場所を示すことができますね。
広い意味の場所だけでなく、3.の文のように体の位置を特定するときにも前置詞àは使われます。
おそらくフランス語を習い始めたころ「~が痛い」という表現を覚えるときに、avoir à~の前置詞àにはあまり気を留めなかったと思うのですが、いま改めて振り返ると前置詞àは位置を示すという働きがあることを知っていればこの表現の持つ意味も理解しやすいですね。
方向・方角のà
この用法の前置詞àも頻繁に使われる表現ですね。動詞allerと一緒に使われて「~に・へ行く」という表現では日常的に前置詞àを目にしています。
- Je vais à Paris.「私はパリに行く」
- Il tourne à droite.「彼は右に曲がる」
- Cette ville est à l’est de la France.「この街はフランスの東にある」
どの文でもàは方向や方角を示していることがわかると思います。
ところで3.の文に関してですが次の2文の違いはわかりますか。
- Cette ville est à l’est de la France.
- Cette ville est dans l’est de la France.
上の文は「この街はフランスの東にある」(フランス外部)
下の文は「この街はフランスの東部にある」(フランス内部)となります。
上の文では「この街」がフランスの外にある街を意味します。フランスの東だとスイスやドイツの街ですね。
それに対して下の文では「この街」がフランスの中の東部にある街を指します。つまりアルザスロレーヌやフランシュコンテ地方ですね。
手段のà
フランス語前置詞àの用法で大事なのがこの使い方です。手段のàはフランス語検定でも頻繁に狙われる表現なので気を付けましょう。
- Il ferme la porte à clé.「彼はドアをかぎで閉める」
- J’écris cette lettre au stylo.「私はこの手紙をペンで書く」
- Je vais à l’école à pied.「私は学校に徒歩で行く」
- Elle est venue à vélo.「彼女は自転車で来た」
1.と2.の文のように道具を意味することもでき、3.と4.の文のように手段を意味することも可能なのが前置詞àです。
さらに掘り下げていくと、道具や手段が具体的である場合は前置詞àが使われず代わりにavecが使われることを覚えておきましょう。2.の文を例として挙げてみます。
- J’écris cette lettre au stylo.
- J’écris cette lettre avec mon stylo.
- J’écris cette lettre avec ce stylo.
このように道具や手段に所有形容詞や指示形容詞が付いて道具や手段がはっきりするときには前置詞àではなくavecが使われるのです。
所属のà
所属のàは「~の」や「~入りの」を意味します。
- café au lait「カフェオレ」
- tarte aux pommes「リンゴタルト」
- C’est à moi !「これは私のです!」
このように所属のàが付く食べ物は日本語にもなっているものが多いす。抹茶オレも同じですね。
分離のà
最後に前置詞àの用法の中でも面白い「分離のà」を紹介します。この前置詞àは特定の動詞と一緒に使われる場面でのみ分離「~から」の意味を持ちます。例えば以下のようなものがあります。
- J’emprunte 10 euros à Paul.「私はポールから10ユーロを借りている」
- Il achète des fleurs à elle.「彼は彼女から花を買う」
- Il a volé de l’argent à Marie.「彼はマリからお金を盗んだ」
- Elle échappe à la police.「彼女は警察から逃げている」
これらの文すべてに「~から」という言葉が入っているのに気付きましたか。
普通、「~から」の意味を表すのは前置詞deですが、ある特定の動詞は前置詞deではなく前置詞àを伴って使われるのです。
これらの動詞には以下のようなものがあるので合わせて紹介します。
- emprunter A à B 「BからAを借りる」
- acheter A à B「BからAを買う」
- voler A à B「BからAを盗む」
- enlever A à B「BからAを奪う」
- écahpper à~「~から逃げる」
これらの特別な動詞は例外的なのでフランス語検定などの問題にも登場しやすい動詞です。
まとめ
いかがだったでしょうか。フランス語の前置詞àは単に「~に・~へ」だけを表す前置詞ではなくて、ほかにも様々な大切な意味があるということがわかりました。熟語や日常会話のフレーズの一部として使われることの多い前置詞のàですが、辞書をみなおしてみるとちゃんと理由があって前置詞àが使われているということがわかると思います。
最後に今日勉強した前置詞àの用法5つをそれぞれの例文とともに載せて終わりにします。それぞれの用法の意味の違いをハッキリさせましょう!
①場所・位置のà
- Il habite à Paris.「彼はパリに住んでいる」
- Elle est à la maison.「彼女は家にいる」
- J’ai mal à la tête.「私は頭が痛い」
②方向・方角のà
- Je vais à Paris.「私はパリに行く」
- Il tourne à droite.「彼は右に曲がる」
- Cette ville est à l’est de la France.「この街はフランスの東にある」
③手段のà
- Il ferme la porte à clé.「彼はドアをかぎで閉める」
- J’écris cette lettre au stylo.「私はこの手紙をペンで書く」
- Je vais à l’école à pied.「私は学校に徒歩で行く」
- Elle est venue à vélo.「彼女は自転車で来た」
④所属のà
- café au lait「カフェオレ」
- tarte aux pommes「リンゴタルト」
- C’est à moi !「これは私のです!」
⑤分離のà
- J’emprunte 10 euros à Paul.「私はポールから10ユーロを借りている」
- Il achète des fleurs à elle.「彼は彼女から花を買う」
- Il a volé de l’argent à Marie.「彼はマリからお金を盗んだ」
- Elle échappe à la police.「彼女は警察から逃げている」