フランス語の関係代名詞を勉強していると避けられないdontについて、多くのフランス語学習者が苦手意識を持っているように感じます。なぜdontが難しく感じるのか、それはきっと日本語にも英語にも同じ表現が無いからです。今回は関係代名詞dontの用法と実際にどのように使われているかを解説していきます。
関係代名詞とは
まず、関係代名詞とは何かと簡単におさらいすると、関係代名詞とはある文に情報を付け加えるときの接着剤のことを指します。すでにそれ単体で文として成立しているものにさらに付加情報を加えたいときに用いるのが関係代名詞です。
関係代名詞がどのように使われるかを2つの例文と共に見ていきましょう。
彼には子供が2人いる。
という文はそれ一文で意味が完結していますが、deux enfants「2人の子供」にさらに付加情報を加えたいときに、語尾に関係代名詞をつけます。
彼には日本に住む子供が2人いる。
もうひとつ別の文を見ていきます。
その人はここにはいません。
という文のla personne「その人」に情報を付け加えると
君が探している人はここにはいません。
ここで紹介した2つの文の関係代名詞によって情報が付加されるものを文法用語では先行詞(せんこうし)と呼びます。関係代名詞について簡単におさらいしたところで、今回のテーマである関係代名詞dontについてみていきましょう。
dontの用法3つ
1.前置詞deを含む関係代名詞
parler de「~について話す」やavoir besoin de「~が必要だ」のような動詞+前置詞deの熟語や、fier de「~を誇りに思う」やresponsable de「~の責任がある」のような前置詞deが後に続く形容詞と関係代名詞が結びつくときに関係代名詞dontが用いられます。
その少女はどこにいるの?
私は昨日その少女について話した。
私が昨日話した少女はどこにいるの?
mon,ma,mesのような所有形容詞を関係節の中で用いることはできないため先行詞のmon styloをle styloに変えなくてはいけないので注意が必要です。
私はペンを失くした。
私はペンが必要だ。
私は必要なペンを失くした。
前置詞deを伴う形容詞の場合も同様に関係代名詞dontをとります。
この事故は重大ではない。
彼はこの事故の責任がある。
彼に責任があるその事故は重大ではない。
君が話していた少女はどこにいるの?
私は枯れの出身地が好きだ。
これは彼女が自慢している息子だ。
前置詞deを含む関係代名詞は、前置詞deを含む熟語や形容詞をしっかり覚えておけば、難しくはないと思います。熟語や形容詞と前置詞の結びつきはフランス語検定(仏検)でも狙われる範囲なので表現を覚えるときには必ず前置詞の結びつきも一緒に覚えるようにしましょう。
2.所有関係(英語のwhose:「その人の~は」)
英語のwhoseと同じような用法として所有関係があります。先行詞の所有関係を追加するために関係代名詞dontは用いられ、先行詞は人でもモノでも可能です。
母親はよく働く。
子供たちは小さい。
子供が小さい母親はよく働く。
↑この1文では主語がLa mère dont les enfants sont petits「子供が小さい母親」と長いので注意。
少年が近くに住んでいる。
父は俳優だ。
父が俳優の少年が近くに住んでいる。
私はドアが開いている部屋に入った。
私は兄弟が医者の少年を知っている。
所有関係(英語のwhose:「その人の~は」)を意味する関係代名詞dontの用法は英語で同様の表現があるため英文法を勉強したことのある人にとっては馴染みのある表現ではないでしょうか。
3.部分を表す
先行詞の一部がどのようなものかを示すために関係代名詞dontが使われることがあります。ニュースなどで「負傷者が30人出たが、そのうち日本人は2人だった。」のようなフレーズで用いられることが多いです。
彼には3人の娘がいるがそのうち2人は結婚している。
関係代名詞の後に主語+動詞ではなく、動詞が省略されて主語だけが用いられる場合もある。
私は複数の人にあったが、その中にマリもいた。
彼は複数の家を所有しているがそのうちひとつはパリにある。
部分を表す関係代名詞dontの表現はフランス語に特有なものなので注意が必要です。特に文章やニュースで用いられる頻度が高い便利な表現なので、確実に覚えておきましょう。
実際の使われ方
これまで見てきた関係代名詞dontがニュースや会話などでどのように用いられているか実際のニュースなどを引用してみていきましょう。
17 personnes, dont 11 pompiers, ont été blessées ce vendredi à la mi-journée dans une explosion due au gaz dans un immeuble du 6ème arrondissement de Paris.
Explosion accidentelle à Paris : 17 blessés, dont 11 pompiers
このニュースでは先行詞17 personnesに、「17人のうち11人が消防士だった」という付加情報を加える目的で関係代名詞dontが使われています。
Attentats de Bruxelles: 8 Français blessés, dont 3 grièvement
Attentats de Bruxelles: 8 Français blessés, dont 3 grièvement
ニュースのタイトルを短くするために関係代名詞の後の動詞が省略されています。
Plus de 500 personnes ont été blessées, dont plus de 200 sont dans un état grave, dans une explosion dans un parc de loisirs près de la capitale taiwanaise.
Taïwan: une explosion fait plus de 500 blessés dont 200 graves à Taipei dans un parc aquatique
このニュースでも関係代名詞dontは全体の一部の数を表す目的で使われています。
まとめ
以上のように関係代名詞dontには主に3つの使い方があります。いきなり関係代名詞dontを実際に自分で使うことは難しいかもしれませんが、関係代名詞dontが含まれる文章を読解することはできるようになったと思います。
関係代名詞dontはニュースでも頻繁に用いられる表現なので文章を読むときには気をつけて意味をとらえるようにしましょう。