部分冠詞(article partitif)とは
- フランス語の部分冠詞は英語のsomeに相当する冠詞。
- 抽象名詞や液体・気体などの数えられない名詞の前に置かれる。
- フランス語の部分冠詞は後に続く名詞の性によって形が変化する。
- 部分冠詞は数えられないものを表す名詞の前に付けるので複数形が存在しない。
男性名詞 | 女性名詞 |
du (de l’) | de la (de l’) |
- 男性名詞の前ではdu
- 女性名詞の前ではde la
- 母音または無音のhで始まる男性名詞・女性名詞の前ではde l’
不定冠詞は後に続く名詞の性のみによって形が変化します。性と数によって形が変化する定冠詞や不定冠詞と異なり、部分冠詞の形には名詞の数が関係しないのがポイントです。
母音から始まる男性名詞と女性名詞の前では母音の衝突が起き、この衝突を避けるために部分冠詞のduやde laがde l’に変形します。
冠詞の終わりの文字が母音で、次の単語が母音もしくは無音のhで始まる場合、冠詞の最後に付く母音を消して、代わりに[ ‘ ]を置きます。フランス語の母音はa/e/i/o/u/yとそれぞれにアクサンが付いたものを指します。
- le ami → l‘ami
- le arbre → l‘arbre
- la école → l‘école
フランス語のhから始まる単語には有音のhと無音のhという2つのカテゴリーが存在します。有音のhは、hを他の子音と同じように扱いますが、無音のhの場合は文法上、hを文字としてカウントしないため、無音のhから始まる単語はhの後に続く母音から始まるとみなされて母音の衝突の対象となります。
- homme → l‘homme
- histoire → l‘histoire
部分冠詞を使った例をいくつか見てみましょう。下の4つの例から分かるように部分冠詞は後ろに男性名詞か女性名詞が続くかによって、形が変化します。
- du riz
米 - de l’eau
水 - du vin
ワイン - du courage
勇気
このページではまず、1)部分冠詞の作り方について勉強した後、実際に部分冠詞がどのように用いられるか、2)用法や使い方について例文とともに紹介していきます。
フランス語の部分冠詞の作り方
男性名詞の作り方
男性名詞の前では部分冠詞duを用います。ただし母音または無音のhで始まる名詞の前では母音が連続するため、部分冠詞de l’を代用します。
- courage → du courage 勇気
- vin → du vin ワイン
- argent → de l’argent お金
男性名詞の作り方
女性名詞の前では部分冠詞de laを用います。ただし母音または無音のhで始まる名詞の前では母音が連続するため、部分冠詞de l’を代用します。
- chance → de la chance チャンス・機会
- bière → de la bière ビール
- eau → de l’eau 水
部分冠詞の用法
部分冠詞には1)数えられない名詞の前に付く用法と2)抽象名詞の前に付く用法があります。部分冠詞の用法を例文と解説とともに見ていきましょう。
【数えられない名詞の前に付く用法】「いくらかの~」
水やワインをはじめとする液体や空気、また肉などの名詞は一つ一つ数えることができない物質名詞です。100mlや100gなどのように量を計ることはできるけれど、本や机のように目で見て明確に個数を判断することが難しいため部分冠詞を用いておおよその量を表します。
- du vin
いくらかのワイン - de l’eau
いくらかの水 - de la bière
いくらかのビール - du café
いくらかのコーヒー - de l’argent
いくらかのお金 - de la viande
いくらかの肉 - Je bois de l’eau.
私は水を飲む。 - Je mange de la soupe.
私はスープを飲む。
【抽象名詞の前に付く用法】
机やペンなどと違って、「勇気」や「徳」、「忍耐」などは目に見えず、一つ一つ数えることができない抽象的な名詞です。こういった抽象名詞の前には部分冠詞を置きます。
- du courage
勇気 - de la chance
幸運 - Il faut du courage pour faire cela.
それをするには勇気が必要だ。 - Tu as de la patience.
君は忍耐強いね。