フランス語の否定形・否定文とは何か
- フランス語の否定形・否定文の基本形は動詞をneとpasではさむ。
- neは母音の前でn’となる。
フランス語の否定文を作るには動詞の前後にneとpasという2つのパーツを置きます。このページの後半で紹介する一部の例外を除いて、これら2つのパーツが両方あってはじめて否定文が完成するので、文法を学ぶ際は必ずどちらも書くようにしましょう。
フランス語の自動詞を否定形に変える場合
自動詞を否定形に変える時には動詞をne pasではさむだけです。
- Je marche.
私は歩く。 - Je ne marche pas.
私は歩かない。
上の例では動詞marcherが自動詞であるため、その前後をneとpasで挟んでいます。一部の文法書や教師の間では、この動詞を挟む様子から否定形のことを「ne pasサンドイッチ」などと解説しています。
フランス語の他動詞を否定形に変える場合
上の例では自動詞を否定形に変える際の否定文の作り方を見てきましたが、他動詞を否定形に変える場合、他動詞の後に続く目的語がどの冠詞(①定冠詞か②不定冠詞・部分冠詞)を従えているかによって形が変わるので、2つのパターンを別々で解説していきます。
①他動詞で目的語が定冠詞の場合
定冠詞付きの名詞を目的語とする他動詞の場合も、自動詞と同じように動詞をne pasではさむだけです。
- Tu aimes le chocolat.
君はチョコレートが好きだ。 - Tu n’aimes pas le chocolat.
君はチョコレートが好きではない。
②他動詞で目的語が不定冠詞または部分冠詞の場合
不定冠詞もしくは部分冠詞付きの名詞を目的語として取る他動詞の場合、動詞をne pasではさむのに加えて、冠詞の代わりにdeを置く必要があります。
- J’ai une voiture.
私は車を1台持っている。 - Je n’ai pas de voiture.
私は車を持っていない。
ここでのdeは「ゼロ」を意味し、deに続く名詞の個数がゼロということを表します。
次の例文のように、もともと名詞が複数形だった場合は否定文でも名詞は複数形のままです。
- J’ai deux voitures.
私は車を2台持っている。 - Je n’ai pas de voitures.
私は車を(1台も)持っていない。 - J’ai des voitures.
私は車を数台持っている。 - Je n’ai pas de voitures.
私は車を(1台も)持っていない。
部分冠詞付きの名詞も同じように否定文では部分冠詞がdeに置き換わります。
- Il a de l’argent.
彼はお金を持っている。 - Il n’a pas d’argent.
彼はお金を持っていない。
フランス語の否定文の種類
ここまではフランス語否定文の最も基本的な形であるne pas「〜ない』という形のみを見てきましたが、ここからは「まだ〜ない」や「もう〜ない」などの部分否定の形を表現する方法を学習していきます。
フランス語の否定表現その1 ne…pas「〜ない」
ここまで見てきた基本的な否定文の形です。
- Je ne parle pas japonais.
私は日本語を話さない。 - Il n’aime pas les chiens.
彼は犬が好きではない。
フランス語の否定表現その2 ne…pas encore「まだ〜ない」
否定文の基本形であるne…pasの後ろにencore「まだ」という副詞を付け加えることで、「まだ〜ない」という否定表現を作ることができます。
- Elle ne fait pas encore ses devoirs.
彼女はまだ宿題をしていない。 - Je n’achète pas encore le stylo.
私はまだペンを買っていない。
フランス語の否定表現その3 ne…plus「もう〜ない」
否定表現その2で見た「まだ〜ない」の逆を意味する「もう〜ない」を表現するにはpasの代わりにplusを置きます。
- Il n’y a plus de place.
もう席がありません。 - Elle n’est plus jeune.
彼女はもう若くない。
フランス語の否定表現その4 ne…jamais「決して/絶対/一度も〜ない」
強い否定を表現するにはne…jamais構文を用います。
- Il ne bois jamais de bière.
彼は決してビールを飲まない。 - Elle ne sort jamais seule.
彼女は一人では絶対に外に出ない。
フランス語の否定表現その5 ne…rien「何も〜ない」
完全な否定を表すにはne…rien「何も〜ない」を使います。
- Il ne mange rien.
彼は何も食べない。 - Ils ne parlent rien.
彼らは何も喋らない。
フランス語の否定表現その6 ne…personne「誰も〜ない」
熟語表現il y a…「〜がある・〜がいる」と相性の良い否定表現にne…personne「誰も〜ない」という表現があります。
- Il n’y a personne à la maison.
家には誰もいない。
フランス語の否定表現その7 ne…aucun(e)「どんな〜も〜ない」
ne…aucun(e)は後に続く名詞の性が男性名詞か女性名詞かによって、形がaucunもしくはaucuneに変わるので注意が必要です。
- Je n’ai aucune idée.
私はアイデアがない=見当がつかない。 - Elle ne parle aucune langue asiatique.
彼女はどんなアジア言語も話さない。
フランス語の否定表現その8 ne…que「〜しか〜ない」
このne…queは否定表現のグループには含まれていますが、意味の上では量を限定している表現です。
- Il n’a que 1000 yen.
彼は1000円しか持っていない。 - Je ne connais que son nom.
私は彼の名前しか知らない。
フランス語の否定表現その9 ne…guère「ほとんど〜ない」
ne…guèreは文章で使われる表現ですが、会話ではほとんど使われません。
- Cette expression ne s’utilise guère à l’oral.
この表現は会話ではほとんど使われない。
会話では代わりにne…pas beaucoupやne…pas souventを代用する場合が多いです。
フランス語の否定表現その10・11 ne…pas toujoursとne…toujours pasの違い
フランス語学習者を悩ませる二つのよく似た否定表現があります。それがne…pas toujoursとne…toujours pasの二つで、フランス語中級者でも時たま、どちらがどちらか分からなくなってしまうことがある表現なので気をつけて覚えましょう。
- ne…pas toujours「いつも〜とは限らない」
- ne…toujours pas「相変わらず〜ではない」
- Il ne se lève pas toujours tôt.
彼はいつも早く起きるとは限らない。 - Il ne se lève toujours pas tôt.
彼は相変わらず早く起きない。
否定形neの省略
文法上のルールとしては否定文を作るときに必ずne…pasの両方を書く必要があると冒頭でも説明しました。しかし会話などでは速く話すために、ne…pasのneを省略するケースが見られるようになってきました。
例えば次の文のように会話やSNSなどではかなりの頻度でneが省略されるケースが存在します。
- Je ne parle pas français.
- Je parle pas français.
否定のpasの省略
また、別のパターンで否定形のpasが省略される場合があります。それは動詞cesser「〜をやめる」などの例外的な動詞の場合のみで下記のようにpasを省略することができます。
- Il ne cesse de fumer.
彼は喫煙をやめない。